わが子の健やかな成長を祝い、神様へ感謝を伝える七五三。おめかしした息子の晴れ姿を初めて目にしたとき、その凛々しさに親として深い感動を覚えました。
「よし、この最高にカッコいい姿を一眼レフカメラで綺麗に切り取って、一生もののアルバムにするぞ!」
そう意気込んで神社へ向かった私を待っていたのは、七五三という一大イベントならではの厳しい現実でした。息子は着慣れない着物に興奮しているのか、いつも以上に落ち着きがなく動きが活発で、まともにレンズの前に立ってくれません。
ぐずる息子になだめすかして「こっち向いてー!」とカメラを向けても、返ってきたのはガチガチに引きつった直立不動の真顔。
いつものお決まりのピースサインすら出してくれないほど機嫌が悪く、ただでさえ混雑する境内で、写真を1枚撮るのにも本当に一苦労の連続でした。
この記事は、七五三の参拝で「子供の機嫌が悪くて笑顔が撮れない」「落ち着きがなくて写真どころではない」と悩んでいるパパ・ママへ向けて書いています。
私も当日は息子に何度も「こっち向いて」と声をかけましたが、思うような写真はほとんど撮れませんでした。
しかし、笑顔やポーズを求めるのをやめ、上から・下から・斜めからと自分が動いてアングルを変えることに集中した結果、不機嫌な表情のままでも凛々しく印象的な写真を残すことができました。
この記事では、七五三当日に私が実際に試した撮り方をお話しします。
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大人5人に犬1匹。初めての大所帯でも迷いを削ぎ落とすSモードの選択
今回の七五三がいつも以上にプレッシャーだったのには、もう一つ大きな理由がありました。
普段の撮影なら、被写体は息子と奥さんの多くて二人だけ。しかしこの日は、義理のご両親お二人とおじいちゃん、さらに我が家の愛犬(わんこ)も一緒。私を含めて「大人5人、子供1人、動物1匹」という、これまでに経験したことのない大所帯での参拝だったのです。
「こんな大人数を構図に収めながら、ちゃんと失敗せずに撮りきれるだろうか……」
境内の真ん中で一瞬、頭が真っ白になりかけました。息子は落ち着きなく歩き回り、愛犬は気になる匂いを追いかけ、家族全員の視線もなかなか揃いません。誰かに合わせると誰かがフレームから外れそうになり、「全員を完璧に撮ろう」と考えるほど混乱していきました。
しかし私は、あれこれ欲張って全員のカメラ目線を完璧にコントロールしようとする無駄を捨て、これまでの「優先順位の引き算」に立ち返りました。
「主役はどこまでいっても息子だ。犬や大人の動きに惑わされるな。一番予測不能に激しく動く、息子を止めることだけに集中するんだ」
大人は多少動いても撮り直せますし、愛犬も数枚のうちどこかでこちらを向いてくれる可能性があります。
しかし、その瞬間にしか見せない息子の表情だけは後から再現できません。私はそこで、全員を完璧に撮ることではなく、主役である息子の一瞬を逃さないことを最優先に決めました。
選んだのは、やはりいつもの「S(シャッター速度優先)モード」。シャッタースピードを「1/500秒」前後の高速な世界へカチッと固定しました。
実際、この判断は正解でした。着物の裾を気にせず小走りになった瞬間や、家族の呼びかけに振り向いた一瞬も、ブレを気にせずシャッターを切ることができたからです。
ゴチャゴチャした背景を引き算する。神社をバックにシンプルを貫く位置取り
設定を済ませたら、次は人混みとの戦いです。七五三シーズンの境内は、同じような参拝客やカラフルな千歳飴の袋、看板などで溢れかえり、普通に撮ると画面がゴチャゴチャとして生活感が出てしまいます。
実際にファインダーを覗くと、せっかく凛々しく立っている息子のすぐ後ろを別の家族が横切ったり、鮮やかな色の荷物が目立ったりして、視線が主役から散ってしまう場面が何度もありました。
そこで私は、前回の観光地記事で培った「背景の引き算」を応用しました。
まずは境内を歩き回り、なるべく人の往来が少ない静かなエリアを探し出します。参拝客が集中する参道や手水舎の周辺は避け、少し横に外れた場所から社殿が見えるポイントを探しました。
そして、余計なノイズが画面に入り込まないよう、厳かな「神社の社殿」だけが息子の背後にシンプルに収まるようなポジションを定めました。
主役の魅力を引き立てるためには、背景の情報を極限までシンプルに削ぎ落とすこと。和の伝統的な建造物をダイナミックに背景に据えることで、息子の着物姿が引き立つ最高の舞台装置を、ファインダーの中に作り上げました。
液晶で確認すると、最初に撮った人混みの中の写真よりも視線が自然と息子へ集まり、着物の色や表情がはるかに印象的に見えたのを覚えています。
子供にポーズを求めるな。自分が動き回って見つけた「カッコいい!」の瞬間
舞台が整っても、息子の機嫌は斜め上のまま。直立不動で頑なにカメラを睨みつける息子に対し、私は「笑って!」と言うのをやめました。
子供に無理な注文をつける引き算をし、その代わりに、カメラマンである自分が地面に這いつくばるようにして泥臭く動き回ることにしたのです。
これまでの記事でも大活躍した「バリアングルモニター」をフル活用します。
直立不動の息子の姿を、モニターを覗き込みながら、まずは高い位置から「上からのアングル」で撮影。次に、地面スレスレまでカメラを下げて「下からのローアングル」で、大人の階段を上る男の子の力強さを表現するように狙いました。しかし、実際に液晶で確認すると「悪くはないけれど決め手に欠けるな」という印象でした。
そこでさらに位置を変えながら何枚も撮り続け、最後に辿り着いたのが斜め横からのアングルだったのです。
そして、厳かな神社をバックに、息子の斜め横から角度をつけてカメラを構えた、その瞬間でした。
西日に照らされた着物の質感、少し背伸びをしたような凛々しい横顔、神社の美しい木目が織りなす完璧な構図。
シャッターを切った瞬間、液晶画面に映し出された息子の姿があまりにもサマになっていて、「カッコいい!」と思わず現場で声に出そうになってしまうほど、震えるような最高の1枚がそこに収まっていました。
それまで撮っていた正面写真では目立っていた不機嫌そうな表情も、この角度では着物姿の凛々しさとして自然に見え、自分が探していた七五三らしい雰囲気が初めて形になった瞬間でした。
正面を向いた笑顔の記念写真とは一線を画す、まるで歴史ある舞台のポートレートのような深みのある写真。
子供を叱って気まずい空気にすることなく、自分の足で掴み取ったその仕上がりに、胸がすくような嬉しさがこみ上げてきました。
さっきまで「ちゃんと撮らなきゃ」と焦っていた気持ちが嘘のように消え、「今日はもう十分だ」とその場で肩の力が抜けたのを覚えています。
過去の自分へのアドバイス。不機嫌なのは当たり前、カメラマンが動けば勝ちだよ
もし、境内の真ん中で「全然こっち向いてくれない!」とイライラしながら冷や汗をかいていたあの日の自分に声をかけるなら、こう伝えます。
「慣れない着物を着させられて、大人たちに囲まれて、子供の機嫌が悪くなるのは当たり前のことなんだよ。だから『ちゃんと立って、こっち向いて笑って』なんていう大人の都合はすべて引き算しなさい。
その代わり、思い出を美しく残すために、カメラマンであるパパが泥臭く動き回るんだ。上から、下から、斜めから、色んな角度からとにかくたくさんシャッターを切りなよ。
主役が動かないなら、自分が動けばいい。少なくとも私は、その考え方に切り替えたことでお気に入りの一枚を残すことができたからね」と。
すべてが完璧なお行儀のいい写真じゃなくていい。実際に我が家の七五三でも、最後まで満面の笑顔はほとんど撮れませんでした。
それでも、少し不機嫌そうに着物を着こなす姿は、その年齢の時にしか見られない大切な成長の記録だったと今では感じています。
無事に参拝を終え、義理のご両親やおじいちゃんに「お父さん、今の写真見せて!」と囲まれる。
液晶に映る息子の凛々しい姿を見て、「うわぁ、プロが撮ったみたいにカッコいい!」と歓声が上がったとき、あんなに苦労して動き回った足の疲れは一瞬で吹き飛びました。
その瞬間、「笑顔を作らせること」よりも「その子らしい瞬間を探すこと」の方が大切だったのだと実感しました。お気に入りの着物を汚さないように気を配りながら、最高の一枚を胸に、家族みんなで温かいお祝いの席へと笑顔で歩みを進めました。

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