月は夜景ではなかった。白飛び写真ばかりだった私がクレーターを撮れた理由

夜空に浮かぶ満月や三日月を見て、「一眼レフならクレーターまではっきり写せるはず」と思ったことはありませんか。

私もそんな期待を胸に月の撮影へ挑戦しましたが、最初は何枚撮っても月は真っ白な光の球になるばかりでした。

しかし、月を夜景ではなく昼間の被写体として考え、露出設定を見直し、初めてMF(マニュアルフォーカス)を使ったことで、クレーターの陰影まで写せるようになりました。

この記事では、私が月撮影で失敗した体験をもとに、白飛びを防ぐ設定やMFでピントを合わせるコツについて紹介します。

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月は夜景ではない。白飛びを防ぐために昼間設定へ切り替えた露出調整

月を初めて撮影したとき、私は何も考えずにカメラを夜空へ向けてシャッターを切りました。

しかし、液晶画面を確認した瞬間、私は首を傾げました。そこに映っていたのは、思い描いていたような月独自の美しい模様があるお月様などではなく、ただの不自然に大きく発光する「真っ白な光の球」だったのです。

夜空は締まりのないグレーに変色し、月は白飛びしてディテールが完全に消滅。「なんで普通に撮っているのに綺麗に写らないんだろう? 一眼レフなら勝手に綺麗に撮ってくれるんじゃないの?」と、静かな夜のベランダで一人、不思議に思いながらがっかりしてしまいました。

オート撮影で月が白飛びする理由。

その理由は、カメラの「夜だから画面全体を明るく補正しなきゃ!」という余計な親切心にあります。

実は、夜空に浮かぶ月は「太陽の光をダイレクトに浴びている、真夏の昼間の被写体」と同じくらい猛烈に明るいのです。暗い夜空に騙されてカメラを明るめの設定にしてしまうことこそが、最大の無駄であり罠でした。

「月独自の模様を出すには、夜景という常識を引き算して、思いきり暗く設定しなければダメなんだ」

そう気づいた私は、いつも参考にしているインスタグラムのアカウントを開き、月の基本設定をそのままカメラへとトレースしました。

用意したのは、遠くの月を引き寄せるための「望遠レンズ」。カメラをM(マニュアル)モードに切り替え、基本設定を固定しました。

  • 画面全体をシャープに引き締めるためにF値はF8前後。
  • ノイズを抑えて月のディテールを守るためISO感度は100〜400に設定します。
  • 足りない明るさを補うため、シャッタースピードは1/200秒〜1/500秒の高速設定にしました。

暗い夜空を撮るのに、設定はまるで真昼のような感覚です。この“引き算の数値”が月を月として写すための基準になります。

月撮影でAFが迷子になる理由と初めてのMF切り替え

設定を終えた私に、もう一つの新しい挑戦が待っていました。それは、これまですべてカメラ任せにしてきたオートフォーカス(AF)を捨て、自分の手でレンズのリングを回してピントを合わせる「MF(マニュアルフォーカス)」への切り替えです。

実は、真っ暗な夜空で小さく光る月にオートフォーカスを合わせようとすると、ピントが迷子になり「ウィーン、ウィーン」と空回りすることがよくあります。

これは月が小さく、コントラストも低いためカメラが迷いやすいからです。だからこそ、ここでもAFという自動機能を一度外す必要があります。

レンズ側面のスイッチを「MF」に切り替え、背面液晶をデジタルズームで拡大して月を捉えます。続いてピントリングを指先でゆっくり回していきました。

回すにつれて、それまで白い光の塊だった月の輪郭が少しずつシャープになっていきます。「ここだ」と感じる一点でピントが合った瞬間、液晶の中に一気に立体感が戻り、思わず息をのむような画が現れました。

手ブレ対策で月撮影に成功。三脚なしでクレーターを写した1枚

参考にしているインスタの投稿には「三脚があればベスト」と書かれていましたが、我が家には三脚がありません。

発表会や初日の出の時と同じように、シャッタースピードを速くしていても手ブレは避けられません。

そこで、左右の手でカメラをしっかり支え、脇を締め、息を止めるようにして、静かにシャッターボタンを押しました。

パシャリ。静かな夜のベランダに、小気味いいシャッター音が響きます。

撮影した写真を拡大して見返したとき、私は言葉を失うほどの感動に包まれました。「月って、本当にこんなに綺麗で、こんな模様をしていたんだ……!」

そこに映っていたのは、ただの白い球ではなく、クレーターの陰影まで写った本物の月でした。

漆黒の宇宙空間に浮かぶその姿には、デコボコとした地形や長い年月を感じさせる模様がはっきりと映っています。

自分の設定とピント操作でここまで写せたことに、思わず言葉を失いました。カメラに撮らされるのではなく、自分の意思で光をコントロールして宇宙の神秘を引き寄せたその瞬間、これまでにない深い満足感が胸を満たしました。

月撮影の失敗から学んだ設定とMFの考え方

もし、夜のベランダで月が白飛びして「どうして写らないんだ」と悩んでいた過去の自分に声をかけるなら、こう伝えます。

「月の撮影は、普段の snap写真のように単純ではないよ。夜景モードで適当に撮ろうとせず、望遠レンズを用意して、月専用の設定(F8・ISO100・高速シャッター)をしっかり頭に入れて臨むんだ。

でもね、焦る必要はまったくないよ。運動会や発表会の一発勝負と違って、月はゆっくりとしか動かないから、失敗しても何回でもやり直しができるんだ。

安心して、自分の手でじっくりピントを合わせてごらん」と。

スマートフォンでも手軽に綺麗な写真は撮れますが、一眼レフで設定やピントを自分で調整して撮った月には、また違った満足感があります。それは自分の操作で光を整えたという実感があるからです。

冷たい夜風が心地よく頬を撫でる中、液晶の中の美しい満月を何度も眺めてはニヤけてしまう。次は三日月の鋭いエッジを狙ってみようか、そんな新しい野望を胸に、静かにカメラの電源をオフにして、あたたかい部屋へと戻りました。

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