初日の出撮影で最初の瞬間を逃した私が、人混みの中で残せたオレンジ色の一枚

初日の出は一年に一度しかない特別な撮影だからこそ、「絶対に失敗したくない」と思う人も多いのではないでしょうか。

私も一眼レフを始めたばかりの頃、初日の出を撮影するため海岸へ向かいました。しかし、現地では想像以上の寒さや人混みに焦り、撮影は決して順調ではありませんでした。

それでも事前に設定と構図をシンプルに決めておいたことで、白飛びを抑えながら新年らしい空気感を写真に残すことができました。

この記事では、私が初日の出撮影で実際に経験した失敗や現場での判断、初心者でも慌てず撮影するために役立った準備について体験を交えながら紹介します。

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太陽が出てからの10分が勝負。インスタの設定に頼った日

現地の環境はカメラ初心者にとって想像を絶する過酷なものでした。浜風が吹き付ける海岸の寒さは予想を遥かに上回り、身体がガチガチと震えて凍えるほど。そんな極寒の暗闇に耐えながら、刻一刻と水平線が明るくなるのを待ちました。

さらに誤算だったのは、初日の出という特別なイベントゆえの「圧倒的な人混み」です。辺りは隙間もないほど人だらけで、カメラを構えるのも一苦労でした。

「これは、太陽が上がったまさにその瞬間を捉えるのは無理かもしれない」という焦りが、寒さと共に押し寄せてきました。

いざ日の出の時刻を迎え、案の定、周囲から「おおっ!」と大きな歓声が上がるものの、人の頭に遮られて一番最初の瞬間を撮ることはできませんでした。

私がようやくカメラを向けられたのは、太陽が完全に水平線から現れて数分が経った後。一年に一度しかない一発勝負のプレッシャーと人混みに揉まれ、現場はまさにテンパり状態の連続でした。

初日の出の撮影は、とにかく時間が短く、やり直しのきかない究極の一発勝負です。

太陽が顔を出してからは、時間が経つごとに光がどんどん強くなっていくため、現場で「設定どうしよう」とダイヤルをカチカチ回している暇は1秒もありません。

失敗の許されない舞台だからこそ、私は自分の感覚に頼るのをやめ、あらかじめインターネットで徹底的に調べておいた「基本の設定」にすべてを委ねるという割り切りをしました。

というのも、それまでの撮影で現場で設定を迷っているうちにシャッターチャンスを逃した経験が何度もあったからです。

選んだ機材は、広角から少し望遠までカバーできる、扱い慣れた標準ズームレンズ。

以前、明るい被写体を撮ったときに白飛びさせてしまった経験があったため、今回は事前に調べた内容を参考にしながら慎重に設定を決めました。

設定は、神々しい光のラインを画面全体でシャープに引き締めるために「F値(絞り)」を8〜16という大きめの数値に固定します。

そして、朝焼けのグラデーションにザラザラとしたノイズが乗るのを防ぐため、「ISO感度」はできる限り小さく抑え込みました。

「太陽が姿を現してから、勝負はわずか10分間だけ。光に負けて画面が真っ白に白飛びしないよう、露出(明るさ)は大胆にマイナスへ引いて待つ」

そう自分に言い聞かせながら、寒さで震える手をポケットに押し込み、水平線を見つめ続けました。

極寒で手がかじかみ、ダイヤル操作もおぼつかなくなることを見越して、この設定をあらかじめ暗闇の段階で済ませておきました。

実際、太陽が見えた瞬間は周囲から歓声が上がり、人々も一斉に動き始めていましたが、私は設定を触ることなくそのままカメラを構えることができました。

現場での迷いを極限まで削ぎ落としたからこそ、数分遅れで人混みから太陽を捉えた瞬間も、慌てずにレンズを向けることができたのです。

初心者だからこそルールに徹する。空を主役にする構図

人混みの隙間からようやくファインダーの中に太陽を捉えた私は、事前に決めていたシンプルな構図の作戦を実行しました。

周囲では次々と歓声が上がり、太陽は刻々と高くなっていきます。構図を考え込んでいる時間はありませんでした。初心者だからこそ、難しいアレンジはすべて引き算し、基本の構図ルールだけに徹することにしたのです。

意識したのは、たったの2つだけ。周囲には多くの人が集まっており、海岸全体を綺麗に写すことは難しい状況でした。

そこで画面のバランスを決める際、地面や海はあえて大きく入れず、「空を画面の1/2以上にする」こと。そして、カメラのグリッド線(画面を分割する補助線)の交点の上に、太陽がちょうど乗るような位置に配置することです。

手前には人の頭が並んでいましたが、それらは画面の下側へ収める程度にとどめ、ファインダーの中では新年の空の広がりが主役になるよう意識しました。

シャッタースピードを速くして露出をグッとマイナスに引いた液晶画面には、強烈な光に負けることなく、燃えるような深いオレンジ色を湛えた太陽が、整った美しい形でカチッと収まっていました。

正直なところ、ここまで色が残るとは思っていませんでした。夢中でシャッターを切りながら、冷え切った指先のことすら忘れてそのファインダーの景色に見惚れてしまいました。

寒い中を我慢した甲斐があった、納得の1枚

家に帰って、あたたかい部屋でパソコンにデータを移し、元旦の写真をじっくりと見返しました。

もちろん、写真集に載っているプロの絶景写真のようにはいきません。太陽が昇り始めた最初の瞬間は人混みで逃してしまったし、もっと早く場所取りをしておけば良かったという反省もあります。

それでも、白飛びしてただの白い塊になることなく、深く、力強いオレンジ色の太陽が波打ち際の空気感と共に綺麗に写真に収まっているのを見たとき、言葉にできないほどの満足感がこみ上げてきました。

「あのガチガチに震えるような寒さの中、諦めずにじっと我慢して本当に良かった。もし途中で車に戻っていたら、この色は残せなかったかもしれない」

液晶に映る、一年の始まりを告げるあたたかい光を見つめているうちに、人混みの中で場所を探して歩き回ったことや、寒さで指先の感覚が薄れていたことまで思い出しました。

凍えそうだった元旦の早朝の記憶は、少しずつ達成感のある思い出へと変わっていきました。

過去の自分へのアドバイス。本番前に「お日様」で練習をしておこう

もし、誰もいない暗闇の海岸で「寒すぎて指が動かない!」と冷や汗をかいていたあの日の自分に声をかけるなら、こう伝えます。

「初日の出の本番は一発勝負だけど、初心者パパ・ママがいきなり一発で大成功を収めるのは難しいよ。実際に私は人混みで最初の瞬間を逃してしまったし、寒さの中で設定を考える余裕もなかった。

だから、何でもない日に夕日や普段の太陽を撮る練習をして、光の強さとカメラの設定の感覚をあらかじめ掴んでおくんだ。本番の寒さは本当にやばいから、現地に着く前に設定はすべて済ませておくこと。

そして、もし人混みに負けて失敗しちゃったとしても、焦らなくていいよ。来年また、家族で挑戦すればいいんだからね」と。

一年に一度のイベントだからと欲張って完璧を求めすぎず、事前の準備をシンプルに整えて臨むこと。

私の場合も、最初の瞬間こそ逃してしまいましたが、設定と構図を事前に決めていたことで慌てずに撮影できました。

その結果、スマートフォンでは残せなかった新年の空気感を写真として持ち帰ることができたのです。

最高の1枚をアルバムの最初のページに飾り、カメラのストラップを丁寧に取り外す。新年の澄んだ青空を見上げながら、初日の出は準備と割り切りが何より大切だと改めて感じました。

今年一年、この相棒と一緒に家族のどんな瞬間を切り取っていこうかと考えながら、新しい一年の歩みを始めました。

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